クレオパトラが愛した香り 『キフィ』
そんな興味からワタクシの香りへの想いはお香の世界へ広がって参りました。
キフィについて語るには、香りの歴史に触れなくてはいけません。
長くなりますよ~!出来るだけ簡潔にまとめてみたいと思います(p`・ω・´q)
アロマテラピーの歴史より、古代エジプトでは焚香(ふんこう)は、煙と共に『香り』を上空へ運ぶことから『香り』が祈りや感謝を神々のもとに届け、良い香りが神々を喜ばせるとして、様々な儀式で用いられて来ました。
また『香り』を示す英語の 「Perfume」は、ラテン語の 「Per (through)」+「fume(煙)」 から成っており、「煙を通じて匂う」というのが由来だといわれています。
古代香料の中で特に知られるのが、乳香(フランキンセンス)と没薬(ミルラ)で、
『乳香は神、没薬は救世主、黄金は王』と言われ、乳香は黄金よりも貴重と考えられていました。
別名のフランキンセンスは『真正純粋=フランク』な『香煙=インセンス』を意味しています。
これらの香料は樹木から取れる樹脂ですが、エジプトでは産出されなかったので遠い産地と交易して入手できる、大変高価で貴重なものでありました。
古代エジプト人は死後の世界と蘇りを信じていたので、魂が帰ってきたときの入れ物として遺体に防腐処理をして保存しました。その際に没薬(ミルラ)やシナモンなど防腐作用のある香料が使われたことにより、ミイラの語源はミルラ(没薬)と言われています。
『香り』は神々と交信する際の媒介物であり、死者の身体を守り、来世へと再生する為の必需品という役割だけでなく、芳香軟膏、油やお酒の香り付けにも使われていました。
(没薬や乳香は漢方薬としても古くから知られ、日本のお香にも使われます。)
『香り』の持つ神秘なチカラを古代エジプト人は理解し、様々なシチュエーションで活用してきたのですね。
そんな貴重な香料ですが、最初は宗教行事にだけ使われていましたが、徐々に王や貴族が医療や美容、おしゃれやもてなしとして使用するようになりました。それが時を経て一般の人々も使用するようになったと言われています。
かのクレオパトラがいかに魅力的であったかを語る上で『香り』は切っても切り離せないものであります。彼女が愛したとされるのは、官能的な動物性香料の麝香(じゃこう)や植物性香料の菖蒲・肉桂・没薬などをブレンドした『キフィ』であったと記されています。
クレオパトラがシーザーやアントニウスを虜にするため、部屋中にお香を焚き、バラ水を入れたお風呂に入り『キフィー』を纏い妖艶な身体をつくり上げたという逸話が残っています。
さて!本題です!!(やっと。。( ̄∇ ̄*)ゞ)
かのクレオパトラが愛した香り、そのキフィとは一体どんな香りなのでしょう!!
★キフィとは
エーベルス・パピルスという最古の医学書によると約16種類の植物性香料からつくられた
『調合香料』と記されています。
その調合法が、魔術的でワタクシ的にとても好みなのですが、
神官たちが聖典を読み上げながら新月の夜から始め2週間熟成させ満月の夜に完成させるというものでした。
キフィとは「聖なる煙」という意味で、『浄化や沈静・安眠』効果があるとされています。
★日の出の時には
「乳香(フランキンセンス)」
フランキンセンスは 太陽神ラーの汗が固まったものと信じられていたので、フランキンセンスを焚いて立ち昇る薫香は『魂をラーのいる天へと 連れて行ってくれる』と信じられていました。
★正午には「没薬(ミルラ)」
ミルラは 太陽神ラーの涙から生まれると信じられていました。
エジプトの不死鳥「ベヌウ」は 500年に1度生まれ変わる際に 「ミルラ」で卵型の容器を作り、そこに死んだばかりの親鳥の亡骸を収めてヘリオポリスまで運び、ラーの神殿で火葬にしたと言われており 「ミルラ」と「ラー」は 深く関わるものとして 信じられていました。
★日没時には
「キフィ」
キフィには『心を落ちつかせる働きがある』と言われていたので、邪気を払い、安眠を導くとともに、悪魔が寝室に入らないようにするため、寝室で「キフィ」を 焚いていたそうです。
またファラオや高僧が瞑想する際にも用いたと言われています。
ローマの植物学者ディオスコリデスの文献、ガレノスの文献にも
日が暮れる頃から焚きはじめるキフィは心を落ち着け、浄化するとともに、不眠の方にも処方すると記されています。
そんなキフィの効能ですが香りとなる原料にはどのようなものが使われていたのでしょうか。
★キフィの成分
これにはさまざまな説があり、レシピは幾つか存在していて、実際の材料は現代で揃えることは不可能だそうです。
主にワインをベースに乳香、没薬、サフラン、カシア、干しぶどう、ハチミツ、スパイクナードなどが使われていたようです。
Ebers Papyrus(エーベルス・パピルス)による成分は、
ハチミツ、ブドウ酒、没薬、シナモン、ペパーミント、ジュニパー、フランキンセンス、オレンジ、ベンゾイン、レーズン、カラマス、ヘンナ、アラビアゴム、オリス、ガランガルルート、サイプレス、ピスタチオ、ベイ、シトロネラ、カルダモン などとされています。
古代の神秘の香りはベールに包まれたまま、ということでしょうか。´。・・。)ノ♡。.
しかし!ここで諦める訳にはいきません!!
ここまで調べると、ますます太古の香りを嗅ぎたいじゃありませんか!(๑و•̀Δ•́)و♡♡
で!見つけました!
現代で再現したというキフィを!+.(≧∀≦)゚+.゚
ヌーエッセンスという名前の練香があるのですが、その調香師であるカーク氏により
忠実に再現されたキフィ。
成分は、レーズン、白ワイン、ジュニパー、アラビア樹脂、カラマス、ヘナ、蜂蜜、シナモン、ペパーミント、ガランガルの根、アヤメ、ミルラ、月桂樹、シトロネラ、オレンジ、フランキンセンス
の16種もの天然原料を、新月から満月にかけて手作りで調合されています。
その香りは、
レーズンとワインがメインに香り、やわらかな甘さの中にシナモンのスパイシーさもあり穏やかな夜を過ごせそうな香りです。
これを薫香として焚くのですが、焚くと香りの印象が変わったりするのでそれについてはまた別ブログで書こうと思います。
はい。長かったですね。
ここまで読んでくださってありがとうございます。
nekoとkousui フレグランス館では3月よりこのキフィを販売させて頂くことになりました!
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